【紅の豚】を考察! 伝えたいことやその後

1992年に公開された「紅の豚」は、ジブリの中でも、男性が主人公という数少ない作品。

「紅の豚」は、ジブリ作品の中でも異なった作品であるという印象を与えます。

  • 男が主人公
  • 主人公が人間ではない豚(ただ元々は普通に人間だった)
  • 飛行機を作ったり、飛んだり、闘うシーンが多い
  • 1対1の決闘シーン

    など。

    「紅の豚」の主人公ポルコがなぜ豚になったのか、その理由や、なぜ飛行機乗りを題材にしたのかを考察しました。

    「紅の豚」作品概要

    「紅の豚」の簡単な短いあらすじとスタッフをご紹介します。

    あらすじ

    舞台は世界大恐慌時代(1930年代)のイタリアアドリア海。戦争中多くの仲間を失った飛行機乗りのポルコは、ブタ顔になって生活しています。戦争中に多くの敵や仲間が亡くなったことから、国とか、権力とか、世間社会から一歩距離を置いて生活していく男の話。

    「紅の豚」あらすじネタバレを解説

    スタッフ

    原作

    飛行艇時代―映画『紅の豚』原作 宮崎 駿

    飛行艇時代―映画『紅の豚』原作 宮崎 駿

    原作は、宮崎駿監督の「紅の豚」の原作漫画。原作漫画と映画は登場人物や最後のラストなどが異なる内容になっています。

    監督

    監督は宮崎駿監督。

    「紅の豚」を考察

    ジブリ作品「紅の豚」ができた理由について考察しました。

    機内で見る映画として

    「紅の豚」が他のジブリ作品と比較して、なんだか違うように思えるのは、題材が飛行機乗りということで、ほぼ女性の観客を無視した作品になっている点です。

    おそらく多くの映画を観た女性たちが、特別かっこいいとも思えない豚のポルコや、飛行機乗りの生き方、闘いや喧嘩などに全然共感できなかったのではないでしょうか。(こんなこと言ってすみません^^;)

    管理人もまた、「紅の豚」という作品に疑問に思っていました。この作品のどこがおもしろいのだろうかと。

    しかし、「ジブリの教科書7 紅の豚」を読んでいましたら、とても興味深い情報を得たんです。

    実はこの「紅の豚」は、一般の映画館で観るようには作られていなかったんだそうですね。

    「紅の豚」は宮崎駿監督の趣味である飛行機を存分に盛り込み、気軽な15分程度の短編として予定された作品。それを鈴木敏夫が機内上映として航空会社に打診した作品だったんだそうです。

    しかし、題材が宮崎の大好きな飛行機ということもあり、作品を作っていくうちに力が入り作品が長くなり拡大されて一般の映画館でも上映できる長さになったんだそうです。

    小品として、最初から大ヒットを狙って考えられた作品ではなく、宮崎駿監督の趣味的な作品の延長線上にある作品ということになります。

    そのため、全国の映画館で上映される前に国際線の機内でも上映された作品だったんだそうです。

    どんな作品でもですが、監督が描きたい作品と観客が求める作品には差がある事が多いのではないでしょうか。

    人気アニメ映画監督となれば、観客や商業としての周囲の期待はでかく、書きたい作品と求められる作品に大きな差がある事は想像できます。

    そんな意味では、観客がどうかじるかは無視した場合、「紅の豚」は宮崎駿の需要な一面を表した作品ということができます。

    飛行機マニアな作品

    「紅の豚」が女性を惹きつけない理由として、作品の内容が飛行機マニアな点です。もともとは飛行機の機内で上映するために作ったからです。

    そのため、飛行機に対してのマニアックな描写が多く、また女性の飛行機乗りっていないので、どうしても内容が男臭くなるという点がありました。

    イタリアのアドリア海

    「紅の豚」が、分かりにくい点としては、時代背景にあると思います。映画の舞台は第2次世界大戦前のイタリアのアドリア海という設定なんですね。

    ただ日本人にとって、第2次世界大戦前の世界の、しかもイタリアの様子なんて分かりますか!? 全くイメージがわかないと思うんです。

    飛行機というのはもちろん、度重なる戦争によって進化を遂げてきたというのは分かります。

    ただ戦前のイタリアの以降気乗りの気持ちや世界感なんて考えたこともないので、とっつきにくい点もあるのでしょう。

    「紅の豚」伝えたいことを考察

    「紅の豚」の伝えたいことを考察してみました。

    管理人は、紅の豚が公開されたときは中学生頃でしたが、TVで放送されたさいも見ていませんし、その後大人になってからTVで放送されたときも見たことがありませんでした。

    そのため、今回「紅の豚」を見るのは初めて。感想としては、余り面白いと思いませんでした。

    最後のラストでは、敵の命を奪わないやり方が描かれていましたが、戦争中でもないので命を奪う必要がないのでその描かれ方がかっこいいとも全く思えませんでした。

    ラストの殴り合いの闘いではポルコがギリギリ勝つのですが、だからどうなんだろう?? と思いました。

    一人の男性の生き方を描く

    ジブリ作品の大半の作品は、主人公が10代の女の子であることが大半です。そのため女の子がジブリ作品を見るとまるで自分が経験しているように共感できる作品が大半です。

    しかし「紅の豚」は元イケメン男が主人公で、男の人の内面や生き方を描いていて、女性である管理人にはちょっと共感しにくい部分もあるんです。

    また飛行機を作るシーンや、飛ぶシーンや、最後の1対1の戦闘シーンなどが作品の中で多く描かれていますが、管理人は女性なので飛行機の仕組みとか余り興味がないので共感しにくいという点があるのではと思いました。

    ラストではポルコとアメリカ野郎との1対1のまるでボクシングのような殴り合いの対決もありますが、女性は1対1の闘いというのにあまり共感しないと思うんです。ボクシングに興味のある女性って多分あまりいないですよね?

    イタリアを舞台にした作品のため、実写版で、外国のかっこいい俳優で実写化したら、女性が見てもかっこいいポルコに片思いできる映画になるのではないかと思いました。

    なぜ豚に? ポルコが豚になった理由

    なぜポルコは豚になったのか?と誰もが疑問に思うと思います。豚じゃなくてもトンボでもいいし、リスでもいい訳です。

    豚は、変な話、人間からすれば食べるものであり、食べる前は汚く臭い動物であると言えます。そのように人間社会からすればちょっと下に見られる、牛肉ではないみたいな。

    しかしポルコは、戦争で多くの仲間や、敵が亡くなるのを見てきたため、国とか、権力とか、世間とかから距離を置いて生きているのです。単に距離を置くだけでなく人間から下に見られる豚として生きていくという意味であると考察しました。

    宮崎駿監督自身も述べています。「僕は豚より人間のほうが価値が高いなんて思っていません。人間とミミズで人ミミズの方がましな場合だってあるんです」と。

    管理人は、ポルコは、人間社会に嫌気がさして豚になり下がったと理解していましたが、人間から見たら豚は下等かもしれないけれど、ポルコは豚を下だと思っていないから豚である自分を嫌だとも思っていないということになるでしょう。

    ポルコのその後

    ということはポルコは、なんらかのきっかけでブタから人間に戻って問題解決とはならない訳です。

    もちろんポルコを愛するジーナはポルコに人間に戻ってほしいと思っていますが。

    ポルコにはその気がないし、ブタが下等とも思ってないからです。

    まとめ

    「紅の豚」は、豚のポルコがその後人間に戻らないということから、なんだかハッピーエンドにならない消化不良な印象を与える作品です。

    しかし宮崎駿監督の、豚は人間より下とは限らないという視点で考えるのなら、ポルコは豚であることを卑下していないし、人間になりたいとも思っていないからということになるでしょう。