1985年に公開された「風の谷のナウシカ」は、ジブリ作品の中の名作中の名作で、宮崎駿監督の名前を一躍トップにした作品。
ナウシカは、人類が発展することによって、核戦争により地球環境を破壊し人類滅亡寸前後に生きる健気に生きる人類の姿を描いた作品。
世紀末を描いた映画は多くあるでしょう。しかし世紀末を描いた作品中でも、ナウシカは名作中の名作ということができると思います。
そんなナウシカをもう一度見直して伝えたいことをを考察、解説してみました。
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Contents
「風の谷のナウシカ」概要
あらすじ
最終戦争から1,000年後の地球は腐海(ふかい)という毒素に飲まれてしまいます。
進歩した技術を持ちながらも、まるで昔の人類のように村を作り助け合いながらなんとか生き延びています。
腐海を敵とみなし焼き払って生き延びようとする人間と、腐海を味方と考え共存しようとする人間。
物語のラストでは、腐海を敵と考えていた者も、腐海は地球や地球の命を守る浄化槽だと気が付き共存していくことを選びます。
ナウシカあらすじ
スタッフ
原作
ナウシカには、宮崎駿自身が原作の漫画があり、1982~1994年にアニメージュに掲載。全59話全7巻。
*Kindleなどの電子書籍はなく従来の印刷版のみ
監督
宮崎駿監督
「風の谷のナウシカ」考察
ナウシカが生まれた時代背景から作品の伝えたいことを考察し解説します。
ナウシカが生まれた時代背景を解説
ナウシカが公開されたの1980年代を、米ソ冷戦時代と、日本の高度経済成長の視点から考察してみました。
米ソ冷戦
第二次世界大戦末期から1980年代終わりは米ソ冷戦の時期に当たります。1991年にソ連の社会主義体制が崩壊し、冷戦も終結します。
ナウシカでは、巨神兵が「火の七日間戦争」によって地球環境を破壊し、人類を滅亡寸前まで追いやったとされています。
ココでいう巨神兵や火の七日間戦争とは何を表しているのでしょうか。
オームと闘わせるために蘇らせられた巨神兵とは人類が作った最強戦士とされており、これは核兵器を表していると考えられます。「火の七日間戦争」は、核戦争を表しているのでしょう。闘う国と国とは、米ソ冷戦の超大国同士の対立を表しているのでしょう。
高度経済成長期
日本は、戦後急激な発展をした高度経済成長期を終えて豊かになり、世界でも経済大国としての地位を得、誰もが自信を持っていた時代であり、未来にワクワクした希望を抱いていました。
しかし人類は2つの不安を抱えていたと言えます。
1945年第二次世界大戦を終えましたが、世界は、もし仮に第3次世界大戦が起これば核戦争になり人類や地球環境は滅亡の危機に立たされるかもしれません。
人類の工業社会がこのまま発展すれば。地球環境を破壊し、いつかしっぺ返しを食らうだろうという不安感を抱いていました。
実際、工業の発展により国内では、環境汚染と公害病が問題になり、水俣病、四日市ぜんそく、イタイイタイ病などの公害病が起きたことは、学校で習ったことと思います。
工業技術が発展することは喜びでもありましたが、人類は持ちえた技術をコントロールできなくなり、どこかで手に負えなくなるのではないかという不安感を抱えていたのです。
日本を経済大国へ押し上げた高度経済成長を終え、その豊かさの残りを未だ享受していた1980年代に「風の谷のナウシカ」は公開されました。
地域共同体の復活
戦後日本がどんどん経済成長を遂げていくにつれて、誰もが感じていた失っていたことがありました。それは地域共同体の崩壊でした。
発展した現代社会において、個人は家族や友人やグループなどの共同体で生きていたころから、より個人が孤立化する方向へ向かって行ったのではないでしょうか?
昔は誰もが農業の仕事であれそれ以外の仕事であれ自分の住む地域で働くことが多かったからかもしれません。しかし仕事と住まいが切り離されて住まいは単なる寝床になったのかもしれません。
最終戦争後、地球環境が破壊され、一部の高度な技術を残しながらも、人類は農業社会に逆戻りし原始的な生活を余儀なくされ、昔のように村人が集まって地域共同体として、力や知恵を集めて生き延びている姿が描かれています。
ただし、最終戦争により近代社会が崩壊して原始社会に戻ったとき人類が地域共同体に戻るように描かれていますが、真実は、現代社会は最先端技術により自分の力だけで生きているように錯覚させられているだけでその力は誰かの力の結晶なのかもしれませんね。
生存の危機に瀕したとき、人間は一人の力では生きてはいけません。複数の能力を掛け合わせてなんとか生き延びているのです。
そんな仲間との助け合い能力を掛け合わせることで、困難な状況でも生き延びることができることを伝えたいのではないでしょうか。
最後のラストの意味を解説
腐海との関係
トルメキア軍の王女は自身が腐海によって腕や足をもぎ取られた経験から腐海やオームを憎んでいました。
一方ナウシカは、小さなころからオームと友達でした。
そのためナウシカはオームの怒りを抑えるために身を挺してオームの子供を助けようとします。そして結果的にはオームの心によって命を救われるのです。
トルメキア軍の王女は、ナウシカの姿を見て、腐海は焼き払うべき敵ではなく、地球や地球の命を守る命の浄化槽であることに気が付くのです。
地球が生き延びるために地球上の毒素を集めたのが腐海であり、腐海で毒素を浄化して地球に帰すことで、数少ない人類が生き延びることができていることを理解します。
この結論は多くの事象に当てはめることができると思います。私たちは、あるべき姿のために常に逆の存在を嫌う傾向にあります。
例えば明るさと暗さ、発展と衰退、競争と敗北などなど。でも思うにその逆作用は人間社会の問題点の定義と考えることもできるのではないでしょうか?
新しい芽吹き
しかし実はナウシカのラストシーンはもう少し先にあるのはご存じでしょうか。
ナウシカのエンディングの後に、腐海に置き忘れたナウシカの帽子付近に、植物が芽吹くシーンで終わりとなっているのです。
これは腐海という毒素の世界に新しい生命が誕生したことを伝えています。地球に新しい森が生まれれば他の動植物も新たに誕生し地球が少しづつ良くなっていく可能性がある未来を表しているのです。
最終戦争から1,000年、残された人類はいつ途絶えるかもしれない厳しい時間を生きてきましたが、1,000年経ちようやく新たな希望が芽生えたのです。
アスベルとのその後を解説
ところで、ナウシカとアスベルとのその後の関係はどうなったのでしょうか。2人は強い絆で結ばれた戦友&親友ということになりますよね。
アスベルは、映画の中ではペジテの人々と共に風の谷で暮らしているようです。
まとめ
「風の谷のナウシカ」は、ジブリ作品とともに育った世代にとっては最も名作中の名作と感じるはずです。
ナウシカ公開から40年以上経った現在、日本の経済力は低迷しているために、作品が伝えている核戦争とか人類の発展した先の未来というのは、ちょっとピンッとこないかもしれませんね。
ではナウシカで描かれたような、核戦争への脅威や地球環境の破壊などの危険性は減ったのでしょうか。
そんなことはあり得ないでしょう。人類は進歩した結果の技術を破壊的な方向へと使う危険性を常にはらんでいるのだということを。
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