ジブリの最新作のタイトル「君たちはどう生きるか」。
「君たちはどう生きるか」には、1937年に出版された吉野源三郎原作の小説と、2017年に漫画化された作品があります。
漫画&小説「君たちはどう生きるか」は、ジブリ作品の「君たちはどう生きるか」の原作ではなく関係がありませんが、いくつかの共通点があります。
漫画&小説の「君たちはどう生きるか」のあらすじと、ジブリ作品との共通点や違いをまとめました。
Contents
【君たちはどう生きるか】原作の漫画&小説
「君たちはどう生きるか」には、漫画とその漫画の原作となった小説があります。
漫画
吉野源三郎著「君たちはどう生きるか」は、2017年8月に羽賀翔一にマガジンハウスから漫画化されました。
わずか半年で145万部を突破、2018年3月には累計200万部を突破しました。
2017年 マガジンハウス |
「君たちはどう生きるか」 |
羽賀翔一著 |
1,120円⇒70off |
その後も、2023年公開のジブリ作品「君たちはどう生きるか」の関連作品として注目され発行部数を飛躍的に伸ばしている。
吉野源三郎著の原作である小説版よりも、漫画の方が発行部数がかなり多くなっている。
小説
漫画「君たちはどう生きるか」には原作となる小説があり、著者は吉野源三郎氏。
1899年生まれで1981年に死去した児童文学者。同作品は1937年、今から約80年前に初出版されています。
2023年出版 ポプラ社 |
「君たちはどう生きるか」 |
吉野源三郎著 |
1,045円⇒70%off |
漫画化の大ヒットやジブリ作品の関連作品となったことから、岩波文庫では、小説「君たちはどう生きるか」の発行部数が累計180万部となり、岩波文庫歴代1位となった。
小説「君たちはどう生きるか」はマガジンハウスなどからも出版されており、合わせると180万部をもっと超える発行部数になる。
「君たちはどう生きるか」漫画や小説を読むための電子書籍サイトの一押しはご紹介した楽天koboですが、他にも複数あるので興味がある方は以下のリンクをご確認くださいね。ちなみに無料で読めるサイトはありません。
「君たちはどう生きるか」漫画や小説を無料で読める電子書籍サイトはある?【君たちはどう生きるか】原作の漫画&小説のあらすじ
本田潤一ことコペル少年は、数年前に父親が亡くなった。父親は息子に対して「人間として立派な男になってもらいたい。」と遺言を残し叔父さんに託した。
作品は、コペル君と叔父さんとのやり取りで描かれており、コペル君の相談に叔父さんが手紙で応えていく。
母親の弟である叔父さんは近くに住んで、コペル君の成長を見守ってくれている。
人間は分子に過ぎない
コペル君は、叔父さんと銀座の街を歩いていたとき歩道橋から下を見渡していた。すると人は分子みたいにちっぽけであると感じ、そして自分もまた分子のようでちっぽけな人間なんだと感じた。
叔父さんからの手紙:「人間はみな一分子であり、分子が世の中の波に動かされまた一方、分子がまた波を作っている。
人間は自分を中心に物事を考えるが、自己中心的な考えを抜けて判断できる人はまれである。そんなコペル君に感動を覚えた。」と伝えた。
いじめ
学校でいつもいじめられていた友人を、勇気をもって助けようと思ったけどできなかった。そのとき別の友人が友人を助けた。その後いじめられていた友人はいじめっこさえも助けてしまい感動した。
手紙:「君が卑劣なことや下等なこと、ひねくれたことを憎んで男らしいまっすぐな精神を尊敬している姿を見て安心した。書物を読んでも体験がないと理解できない。今後も体験から理由を考えて君の思想を育んで欲しい。」と伝えた。
油揚げ事件
イジメられていた友人が最近学校を休んでいるので尋ねたところ、豆腐屋の手伝いと弟の世話をしていた。豆腐や油揚げを作る仕事から自分の身の回りにある商品もまた多くの人の仕事によって成り立っていることに気が付いた。
貧乏ではあるけど、一生懸命生きている友人に心を打たれた。
手紙:「人間は生産するために分業して生産関係を作って働いている。学校で学ぶのは人間の知識や経験をまとめたものだ。人間が分子の関係から人間同心関係になるためにお互いに好意をつくし喜びとすることが美しいんだ。
貧乏であっても、人間の本当の値打ちは所有物やお金ではない。」と伝えた。
けんか
上級生に目をつけられた友人は彼らに攻撃されることに。攻撃されたらみんなで守る約束をしたにも関わらず恐怖のあまり助けられなかったことにショックをうけたコペル君は寝込んでしまうことに。
手紙:「同義に反したとき認めるのはつらい、大半の人は言い訳を考える。正しい同義に従い行動する能力を備えているから苦しむのだ。だから復活できるはずだ。」とコペルを励ました。
原作の漫画&小説とジブリ映画の関係
小説「君たちはどう生きるか」は、ジブリの最新作「君たちはどう生きるか」と同じタイトルであることから有名になりました。
ジブリ作品と原作小説の共通点
ジブリ映画「君たちはどう生きるか」では吉野源三郎著「君たちはどう生きるか」と以下4つの共通点があります。
- タイトルが同じ
- 作品の中で本が登場する
- 少年が主人公
- 先ゆく人としての叔父さんが登場する
ジブリ映画「君たちはどう生きるか」と、吉野源三郎著「君たちはどう生きるか」は同じタイトルです。
また、吉野源三郎著「君たちはどう生きるか」は、ジブリ作品の中で、空襲で亡くなった主人公の眞人のお母さんが残してくれた本として登場します。
そのことから、ジブリ映画「君たちはどう生きるか」は、吉野源三郎著「君たちはどう生きるか」からタイトルを借りたということになります。
また、主人公の少年を導き役として、叔父さんが登場します。
ただ、ジブリ作品では少年の生き方と叔父さんは相反する生き方を選び、小説では叔父さんと少年は同じ方向を歩む役として登場します。
ジブリ作品と原作とは関係ない
しかし吉野源三郎著「君たちはどう生きるか」は、ジブリ作品「君たちはどう生きるか」の原作ではなく、関係がありません。
あくまでタイトルを借りたことと、作中に、吉野源三郎著「君たちはどう生きるか」の小説の本が登場するだけになります。
原作「君たちはどう生きるか」の意味
原作小説や漫画の「君たちはどう生きるか」は、成長期にある少年が、おじさんとのやり取りから自分を発見していく話。
主人公のコペル君が生活や学校や友人関係から人間のありように悩み、人間にとって何が大事かや、自分や他人の人間尊重やきずなを学んでいく。
そして吉野源三郎自身が読者に対して「君たちはどう生きるか」と質問を投げかけている。
ジブリ「君たちはどう生きるか」の意味
ジブリアニメ「君たちはどう生きるか」に登場する叔父さんは、善と悪の入り乱れた人類の末をを思い嫌気がさすような地上を諦め、下の世界に生きることを選ぶ。
「殺し合い奪い合う愚かな世界に戻る。じきに火の海となる世界だ。」でどう生きるかを主人公眞人に問います。
眞人は地上に戻り、友達を作る、助け合える仲間を作ることで愛を広げていきたいと考えます。
ジブリ作品では、恐らく吉野源三郎著「君たちはどう生きるか」で描かれる人間同士の愛の関係を育むことを前提として考えていると思います。
ただ、善悪もある人間世界、情けない人間社会かもしれない、次期大きな不幸が襲う地球かもしれないが、自分を信じることができるように信頼できる仲間の愛を広げていきたい。
吉野源三郎著「君たちはどう生きるか」の小説を、一歩進めた作品になっているのではないかと思いました。
「君たちはどう生きるか」漫画&小説の感想
コペル君は、友人を助けると約束したにも関わらず、臆病から友人を見捨ててしまいその苦しみで寝込むコペル。
そこから、自分を大切にするように友人を大切に守ることの重要性を痛感します。同義に反したからこそ苦しむのは同義を大事にするからだと。
会社に入り、コペル君のように人を助けようとしない、自分の狭い範囲の利益だけを考える大人を沢山見てきました。そんな中で私も傷つけられました。
その中で生きるうちに、自分もまた自分を守るために自分の狭い範囲の利益を考えた方がいいのではないかと思うこともあります。
しかし、「君たちはどう生きるか」を読むことで原点にかえり、やはり自分がどうあるのが同義に反しないかを理解することができたと思います。。
最も大切なのは自分の核であう。核を失えば誇りも持てないし、せこい人間になってしまうのではないでしょうか。
まとめ
一言で言うと「君たちはどう生きるか」非常に面白い漫画&小説でした。
私は、最初に漫画を読んで次に小説を読みました。
こんなこと言うと怒られるかもしれないけど、現代人は漫画に慣れているのでまず漫画を読んで見ることをお勧めします。
作品自体は小中学生を対象に書かれているのかもしれません。しかし大人でも充分に楽しめる作品です。
なぜなら人生で大事なことというのは、年齢には関係ないからです。大人の私たちが悩むのもまた同じことだったりするのではないでしょうか。
というか大人になり周囲の大人たちを見て色々悩むからこそ、原点に返ってみるといいのでしょう。